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1月7日 飛び立った飛行機
今日は日本で迎えるはずだった。箸が使えるはずだった。風呂に入れるはずだった。しかしオレは今、やっとデリーを飛び立ったエア・インディアの機内にいる。帰国は一日遅れるが、とにかく飛び立ちホッとしている。

昨晩のデリーは深い霧に見舞われ、飛行機は飛び立つことが出来なかった。まったく視界がない。滑走路を照らす照明のまわりだけが橙色にぼんやりと仄かな光を見せる他は、辺り一面が真っ白だ。さながら吹雪いたスキー場のよう。5時間機内に缶詰にされたあげく、デリー足止めが決定したときの機内は、客室乗務員に執拗に抗議する人たちの怒声で溢れた。オレは成田に迎えに行くかも知れないとメールで伝えてきたコウタロウのことが何よりも気になった。固定電話を持たない彼と連絡の取りようがない。遅い時間、実家に電話することも躊躇う。迎えに来ていないことを願うばかりだ。

エア・インディアは「最悪の航空会社」だと、旅先で会う人やカマウさんからも聞いていた。乗り継ぎが不便で、時間に遅れるのは当たり前、乗り換えると荷物が出てこなかったり、乗務員のサービスも最低との話だった。実際、接客態度の悪さや時間の遅れは、オレも経験していた。スチュワーデスにビールを要求すると、無言で立ち去り、いつの間にか現れて、ビール3缶、スナック3つをテーブルに叩きつけるかのように置く。往路のアフリカには3時間遅れて到着し、復路のムンバイにも2時間遅れて到着したが、共に遅延の理由説明はナシ。また機体自体も相当悪く、前後の座席間の幅が他社と比べて狭い上に壁がはがれ古さを感じた。機内映画を見る画面が、スクリーンではなく14インチ程度のモニタだったのにも驚いた。機内後方部の座席の人が何も見えないのは当然として、最前列でも字幕は読めないと思う。このように自身でも経験し、出会う人から「エア・インディアでは何かある」みたいなことは聞かされていたが、まさか飛び立てないような事態になるとは思いもよらなかった。

搭乗を待つ日本人観光客
搭乗を待つ日本人観光客

飛び立てないエア・インディアからは滞在用のホテルが提供された。やはり5つ星だったが、この際どうでも良い。ムンバイから乗り込んできた日本人は多く、10名前後の日本人と知り合うこととなった。インドを旅した彼らの話は新鮮で面白い。昨日のような詐欺事件を自ら経験したり、彼らのいろいろな体験談を聞いていると、インドの印象が強烈に強まる。オレからアフリカが急激に離れていくようで淋しく感じた。これで日本に帰るとアフリカはなおいっそう離れるだろう。今、デジタルカメラで撮影した写真を見返してみても、その地にいた自分が信じられない。見たことがない世界にオレがいる。

遙かなるアフリカ。思えばオーストラリアの旅先で友人・西原からもらった手紙が、憧れのきっかけだった。「アフリカを旅すると世界観が変わるらしいよ」オレはその言葉に夢を見た。オーストラリアの旅を続けながら、次の旅はアフリカだと心に決めた。それから5年かかって、やっと実現したこの旅。圧倒的な景色と人々との豊かな出会い。見るもの、知ること、みんながみんな先進国を旅して感じることと全く違う。サファリやキリマンジャロ登山といった観光に終始せず、本当によかったと思う。カマウさんと知り合い、スラムの現実を知ることが出来たのは、大きな財産だろう。いい旅が出来た。心残りとしてあるのは、カマウさんともっともっといろいろ話したかったこと、「ニュートピア」で教壇に立てなかったこと、そしてなによりケニアやタンザニアの人々と対等な付き合いが出来なかったことにある。これはとても残念だ。彼らはオレを「金」とみていたように思う。オレは彼らから受ける親切の裏に「金目的か!?」と疑い、溝を感じることが多かった。媚びてくるような人たちまでもいた。ケニア人一人当たりの国民総生産(GNP)は$350(※)、タンザニア人の$270(※)を考えれば、その5倍近くを所持していたオレは動く大金であろう。旅行者であり、日本人であるということ。オレは彼らよりどこまでも恵まれている。まずはWEBサイトを作成しよう。そこから多くの人にこの格差を考えてもらうきっかけを作ろう。そして自分自身、もっともっとアフリカを知ってみよう。他者を知ろうとすること、理解しようとすること―――。旅の意味はそこにある。

成田空港に降り立つ。下田と久しぶりに再会した
成田空港に降り立つ。下田と久しぶりに再会した

成田に到着した。空港で働く友人・下田を呼び出す。真っ黒に日焼けした肌と1ヶ月蓄えたヒゲ、そして泥まみれになろうと一度も洗うことなく履き続けた穴あきジーパン。「きたなぁ〜〜〜い、シマヤさん!」開口一番、下田はそう叫んで懐かしい笑顔を見せた。
(「アフリカの旅」終わり)


(※)外務省ホームページ「各国地域情勢」より
参考までに日本の一人当たりの国内総生産(GDP)は$33400(World Bank, World Development Indicators databaseより)

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