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12月27日 カマウさんとの出会い
スラムに学校を建設している日本人は、オレも何度か新聞記事や雑誌、本で目にしたことのある人と同一人物だった。米軍のアフガン爆撃のとき、大阪の米国領事館の前でハンガーストライキを50日間続けて、一時的な車椅子生活になった人の記事も読んだことを覚えているが、それも、今日会ったこの男性だった。

カマウさんこと浅田嘉一さん
カマウさんこと浅田嘉一さん

浅田嘉一さん。1952年に大阪で生まれ、27歳で単身ケニアに渡った。ここに当時の新聞記事がある。飢餓や内戦に苦しむアフリカを報道で知り、自分に何かできることはないかと旅立とうとする青年の姿があった。27歳といえばオレの歳である。毎日を無駄に過ごす自分と比較せざるを得ない。浅田さんはケニアにおいてはカマウと名乗る。「カマウ」は、ケニア人男性の一般的な名で、馴染みやすいその名を呼称として使用しているのだ。

カマウさんは、ケニアやウガンダで、もうすでに27年にわたって孤児院や学校などを自費で運営している信念の人だ。資金が尽きれば日本に出稼ぎに戻る。理解ある人たちから援助を受けることもある。山崎豊子氏の小説「沈まぬ太陽」の主人公・恩地元のモデルとなり他界した小倉寛太朗さんも、孤児院を運営しているとき資金面で多大なサポートを行っていた。また同じく他界してしまったが著名な反骨ジャーナリストの黒田清さんもパトロンであったという。さらに新聞報道などをきっかけとし、何度となくカマウさんを支える「支援の会」が日本に産まれている。ただ残念ながら、その輪はなかなか広がらず、そして長くは続かない。

「ケニアの平均寿命は49歳(*)。シエラレオネにいたっては34歳。この現実を、あなたはどう見るか?」カマウさんに突きつけられた質問だ。日本人とアフリカ人は、まったく違う人間、同じ人間ではないとカマウさんは断言する。80歳を超える日本人の平均寿命と比較するだけでもそれが分かるというのだ。貧富の差がこの現実を生んでいる。また、先進国を潤している軍需産業がアフリカの内戦を拡大させている。「あと治療代の1000円あれば、僕の生徒は死ななくてすんだんだよ」カマウさんは思い出すように言う。「アフリカの最底辺の人たちに目を向けてほしいんだよ。どうしてこんなに不公平なのか考えてほしいんだよ。日本人の生活と大いに関係があるのだから。」カマウさんは続ける。「僕はもう、ケニアをかえられっこない。ただ日本の若者なら変えられる。ここに来て、現実を知って、一緒に立ち上がってほしいんだ」

スラムに住む子供たちのほとんどが母子家庭だ。水道も電気もガスもない家に住む。またさまざまな理由から学校に通う子供も少ない。カマウさんはスラム内に土地を買い、この9月に学校を作った。名を「ニュートピア」という。ユートピアを捩ったカマウさんの造語だ。ケニアの「新しい理想郷」となるよう願いが込められている。ここに通う生徒は、30数名。月135シリング、日本円にして216円ほどの月謝で、教育と食事3食の提供を受ける。現在は冬休み中で、子供がいない間に学校の拡張工事を行っている。

拡張工事中のニュートピア 左側にはブランコ、奥にあるのが校舎
拡張工事中のニュートピア 左側にはブランコ、奥にあるのが校舎

「ここにいると、いろいろな妨害を受けるんだよ」と、カマウさんは笑う。この学校を建てる9月以前にも別の場所で、90名の生徒を集め学校を運営していたが、復古主義者などによる妨害を受け、立ち退くことになった。「もうさぁ、嫌がらせも30年近く受けてくると、慣れてきちゃうんだよね」近隣住民とはトラブルが絶えないという。また、スラムにある学校には、たびたび強盗が侵入を試みる。学校は泥やトタンで作られているが、要所はかなり頑丈に補強されていて、なかなか進入できない。それでも、カマウさんは学校内で寝泊りし警戒している。

学校の拡張工事を行う
学校の拡張工事を行う

ここでの学校の建設を、今日から手伝い始めた。なれない大工仕事、力仕事をスペイン人とケニア人、さらに日本人旅行者と行っている。生徒が冬休み中でマサイなどが行っている授業の様子を見られないことや、実際に教壇に立てないことは残念だが、それでも、これから学校の建設を手伝おう。スラムにはたくさんの子供たちが住む。子供たちのかわいいこと、元気なこと!オレたちを見かければ、「How are you? ムズング(外人)」と、その誰もが声をかけてくる。本当に誰もが、何度も何度も声をかけてくるので、返答に疲れるほどなのだ。こんなにかわいい子供たちを、オレは知らない。彼らのためになるのであれば、一汗かきたい。また、なによりカマウさんから、いろいろなことが学べる。援助とは何か、手助けとは何か、カマウさんによって、これまでオレが抱いてきた甘い考えは次々と覆されるだろう。彼らの生きる現実を見た。彼らの存在を知った。悲惨さも、これからもっと目の当たりにしていく。その上で、日本に住むオレに何ができるのか、これからのオレのために問い詰めて行きたい。

(*)男性の平均寿命 データは「WHO世界保健機関の世界健康レポート2003」による。データを見て分かるとおりアフリカ諸国の平均寿命は極めて低い。

厳しい生活状況にもかかわらず元気いっぱいの子供たち
厳しい生活状況にもかかわらず、スラムに住む子供たちは元気いっぱい

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